イチョウ葉エキスが脳に良い理由は、血流を増やすからだけではないようだ。
南ミシシッピ大学の J. V. Smith 氏、 Y. Luo 氏によるイチョウ葉エキスのレビューをご紹介しましょう。
「ギンコ ビロバ エクストラクト ( イチョウ葉エキス ) の分子学的メカニズムに関する研究」
Studies on molecular mechanisms of Ginkgo biloba extract Appl Microbiol Biotechnol (2004) 64: 465−472 J. V. Smith . Y. Luo
イチョウ葉エキスには2つの成分があり、それらがユニークな薬理作用をもっているというところからこのレビューは始まる。
1)テンペル
2)フラボノイド
1)テルペンは次に分類される。
a)ギンコライド A、B、C、J、M
b)ビロバライド
a)ギンコライドの効果
「 ギンコライドは血小板活性化因子 (PAF) のアンタゴニストで、血小板活性化および凝集を阻害する。それによって血液循環を改善する 」(1)
アンタゴニストとはある作用を阻害する物質 (拮抗物質) 。
つまりギンコライドは血栓の形成を防ぐことが期待できる。
2)フラボノイドの効果
フラボノイドは抗酸化作用を発揮する。
「 フラボノイドは芳香環および二重結合によって構成されている。それによって、ヒドロキシルラジカルにより反応しやすく、直接的スカベンジ作用を有する 」(2)
ヒドロキシルラジカルはフリーラジカル。
ヒドロキシルラジカルは他の物質と反応しやすく、糖、脂質、タンパク、DNAを傷つける。
ニューロンを形成する物質である不飽和脂肪酸に対しても、このラジカルが酸化ダメージを与える。
フラボノイドはつまりニューロンを酸化から守ることが期待できる。
さらに
「 SOD ( superoxide dismutase ) のような抗酸化タンパク質の発現、グルタチオンのような抗酸化代謝物質を増加させる 」(3);(4)
SODとは前出のヒドロキシルラジカルを無害化する酵素のこと。
ところがSODは加齢に伴い減少してしまう。
しかしフラボノイドはSODを増加させる。
「 フラボノイド上の水酸基は prooxidant transitional metal ions (例えばFe2+) と結合してキレート環を作る 」(3)
「 それにより新たなヒドロキシラジカルの生成を阻害する 」(2);(5)
鉄は錆びやすい。
それは生体内の鉄でも同じです。
上記は、フラボノイドが鉄と反応して酸化を防ぐという報告。
それではそれら成分を含むイチョウ葉エキスの主要な効果について。
1 フリーラジカル、酸化ストレスについて
「 フリーラジカルスカベンジャー活性化作用をもっている 」
「 ROS ( reactive oxygen species ) の組織内濃度を減少させる 」(6);(7);(8)
ROS ( 活性酸素種 ) とはフリーラジカル、活性酸素の総称。
イチョウ葉エキスはそれを減らすという、これは抗酸化作用についての報告。
「 膜脂質過酸化反応を抑制する 」(6)
膜脂質過酸化反応とは、脂質の酸化が連鎖するという現象のこと。
あるきっかけで水素を引き抜かれた脂質は、フリーラジカルと化す。
それがこの連鎖の始まり。
ラジカル化した脂質は他の物質から電子を奪いラジカルを増やしてゆく。
増えたラジカルは健全な脂質の水素をつぎつぎ引きぬく。
というように、膜脂質過酸化反応とは、いわば脂質ゾンビ化現象。
そしてイチョウ葉エキスはその連鎖反応を抑制する働きを有する。
ちなみに、
ビタミンEも脂質ラジカルを元に戻す物質。
ただし、ビタミンEのサプリメント摂取は多量になりやすく中性脂肪を引き上げかねないので注意が必要。
脂質の酸化を防ぐためのサプリメントを選ぶなら、フラボノイドが良いでしょう。
2 抗ストレス作用
「 副腎皮質のPBR ( peripheral-type benzodiazepine receptor ) の発現を減らす 」(6)
PBRとは、末梢型ベンゾジアゼピン受容体のことでコルチゾールの合成にかかわる受容体のこと。
副腎皮質に多く存在している。
イチョウ葉エキスはコルチゾールの生産量を減らすようである。
コルチゾールは生存に不可欠なホルモンではあるものの、生体に様々な障害を引き起こすホルモンでもある。
たとえばコルチゾールの大量発生、すなわちストレスは、海馬を委縮させかねません。海馬のニューロンが死滅しています。
海馬にはコルチゾールの受容体が多くあります。
(腹部も多くて、だからストレスはひとを太らせる。が、それはまた別な機会に)
海馬は生体のストレス反応を抑制へと「呼びかける」器官であるため、コルチゾールの矢面に立つ仕組みです。
しかし過剰なコルチゾールは(慢性的なストレスは)海馬のニューロンを「興奮毒性死」へと追い込みかねません。
「興奮毒性死」という現象はニューロンが死滅する仕組みのひとつです。
過剰に刺激されたニューロン内にカルシウムイオンが大量に流入し、ニューロンが興奮状態となり、過活動を起こし、疲れ果て、死滅する、という現象。
海馬の機能についはご承知と思いますが、念のため。
海馬は記憶を定着させたり記憶を呼び起したりする記憶の統合器官であり
また海馬は生体のストレス反応を抑制へと転じるスイッチでもある。
加えて海馬は大人であってもニューロンが新生し、育つ場所。
「 脳のモノアミン酸化酵素 ( MAO ) 活性を低下させる 」(9)
MAO ( モノアミンオキシダーゼ ) 阻害薬は脳のドーパミン濃度を上げる。
MAO阻害薬は、アメリカでは抗うつ剤としても使われることがあります。
これすなわち、イチョウ葉エキスの抗うつ作用を示す報告です。
3 ニューロンのアポトーシスへの作用
「 ニューロンのアポトーシスの減少 」(10);(11);(12)
アポトーシスとはプログラムされた細胞の死滅、細胞の自殺と言われる現象で、ニューロン死滅原因のひとつ。
4 認知機能、記憶への効果
イチョウ葉エキスはアミロイドベータの付着を改善するとも報告されています。
「 神経芽細胞腫細胞におけるアミロイドベータの凝集抑制 」(11)
「 意思決定能力や高齢動物における新しいスキルの習得、ストレスへの応答や気分の変化といった因子に対して有益 」(9):(13)
DNAが損傷を受け、異常なカタチのタンパク質を作ることがあります。
たとえば脳内においては、タンパク質の製造の過程で、本来、内側に折りたたまれるべき油性部分が外にむき出しとなることがあります。
それら異常なタンパク質同志は癒着し、塊と化してゆく。
この塊はアミロイドベータと呼ばれます。
アミロイドベータはアルツハイマー病の原因のひとつとも見られています。
アミロイドベータが付着したニューロンはやがて衰弱し、死滅することが分かっています。
イチョウ葉エキスはその衰弱段階にあるニューロンを回復させるとの報告もあります。
上記はイチョウ葉エキスがアミロイドベータの形成を抑制するという報告です。
ちなみにこのレビューに、イチョウ葉エキスの記憶力改善作用を報告する論文の引用はありませんが、その可能性を示す論文を見つけることはできます。
分子レベルでは、たとえば NDMA受容体(長期記憶に関係する受容体)のノックアウトマウスにイチョウ葉エキスを与え、記憶力が戻った等、報告されています。
5 血液、血流、血管への作用
「 血小板活性化因子 PAF 抑制効果による脳虚血の改善 」(10)
「 内皮由来血管弛緩因子 EDRF (Stimulation of endothelium-derivedrelaxing factor) の刺激による動脈、静脈および毛細管の循環改善 」(14)
血管のもっとも内側に存在する内皮は様々な物質を分泌します。
EDRF (NO 一酸化窒素) もそのうちのひとつ。
一酸化窒素は血管を弛緩させる。
イチョウ葉エキスが血流を良くするというのはこのためと考えられる。
5 神経伝達物質への作用
「 脳内のα1-アドレナリン受容体、5-HT1A ( セロトニン ) 受容体およびムスカリン受容体の年齢による減少予防 」(6)
「 海馬の高親和性コリントランスポーターの取り込みの増加 」(6)
シナプス前細胞から放出されたアセチルコリンは、シナプス後細胞の受容体を活性化したあとで、急速に分解されます。 コリンエステラーゼによってコリンと酢酸に。
シナプスは信号伝達をするためにアセチルコリンを再度、保有しなければなりません。
しかしニューロンはアセチルコリンの原料であるコリンを作れませんので、分解されて周囲を漂うコリンを、再度、シナプス内に取りこむ必要があります。
海馬の高親和性コリントランスポーターとは、それらコリンの取り込み口のことです。
つまりイチョウ葉エキスはアセチルコリンを増やすようです。(コリンのリサイクル効率を向上させる)(ちなみに高麗人参エキスにもこの働きがあります)
アセチルコリンは、記憶の形成、学習、行動、睡眠に関係する神経伝達物質であることはご承知かと思います。
7 抗ストレス作用、遺伝子発現への作用など
「 海馬のグルココルチコイド受容体のダウンレギュレーションの阻害 」(6)
イチョウ葉エキスは、ストレスへの抵抗力を高めるという報告。
海馬のグルココルチコイド受容体の減少をくいとめるというこの作用は、ある種の抗うつ薬同様の働き。
グルココルチコイド受容体とはコルチゾールの受容体です。
その受容体の活性化とは、生体のストレス反応を抑制へと切り替えるために重要。
海馬にはコルチゾールの受容体が多くあり、それゆえ過剰なコルチゾールは海馬を破壊するというのが先ほどのお話し。
「 ある特定の遺伝子の転写を調節する。その結果、細胞の抗酸化状態を増加させ、酸化ストレス耐性を強化、伝達アセチルコリンの量も増える」(15)
「 DNA合成や修正、細胞周期における機能に関わるタンパク質の変化に影響をあたえ、DNA損傷を抑制する」(15)
イチョウ葉エキスは遺伝子発現に作用し、抗酸化力の強いニューロンに強化する働きを有する。
8 その他
「 ミトコンドリアの呼吸調節比率の増加によるATPレベルを増加 」(1)
これはイチョウ葉エキスは生体内のエネルギーを増やすという報告。
ほかにも、イチョウ葉エキスは高山病に有効であるという報告もある。
これが意味するのは酸素の取り込み効率を上げるということです。
日常生活のなかでも酸素の取り込みの減る事態はたびたび生じます。
集中するとき、わたしたちは呼吸をつい忘れがち。
集中しなければならないときには、イチョウ葉エキスを摂りましょう。
「 抗炎症作用および脳障害に対する保護作用 」(16)
「 神経の可逆性への影響 」(6);(3)
イチョウ葉エキスは弱ったニューロンを回復させるようである。
しかしここでの問題は、フツウのひと、ではなく、頭脳戦士はイチョウ葉エキスのポテンシャルをどう引き出すか、ということでしょう。
お勧めするのは、高麗人参エキスやホスファチジルセリンと組み合わせることです。
高麗人参エキスはイチョウ葉エキス同様、「興奮毒性死」を抑える働き、アセチルコリンを増やす働きも期待できます。
イチョウ葉エキスと組み合わせた実験では、ADHDを改善する報告もされています。
集中力を高めることが期待できるのです。
さらに、イチョウ葉エキスとホスファチジルセリンの組み合わせには、集中力、記憶力を改善させることも報告もされています。
それらサプリメントを個別に購入し、自分に合うイチョウ葉エキス・スタックを見つけてみてはいかがでしょうか。
あるいは
キロンのスウィッチ SWITCH や、クールスウィッチ COOL SWITCHには、それら報告とほぼ同量のイチョウ葉エキス、高麗人参エキス (COOL SWITCHはアメリカ人参)、ホスファチジルセリン、バコパモニエラエキスが配合されています。
イチョウ葉エキスを単独で摂る場合と、キロンのスウィッチ SWITCH 、COOL SWITCH とを飲み比べてみるても面白いかもしれません。
スウィッチは、アマゾンや楽天でも入手できます。
▼アマゾン COOL SWITCH
https://www.amazon.co.jp/dp/B07P9XSK2G/
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https://www.amazon.co.jp/dp/B0095GON76
▼アマゾン HYPER SWITCH
https://www.amazon.co.jp/dp/B012QKWVMQ
References
(1) Defeudis FV (2002a) Bilobalide and Neuroprotection. Pharmacol
Res 46:565−568
(2) Zimmermann M, Colciaghi F, Cattabeni F, Di Luca M (2002)Ginkgo biloba extract: from molecular mechanisms to the
treatment of Alzheimer's disease. Cell Mol Biol 48:613−623
(3) Gohil K, Packer L (2002) Global gene expression analysis identifiescell and tissue specific actions of Ginkgo biloba extract, EGb761. Cell Mol Biol 48:625−631
(4) Oken B, Storzbach D, Kaye J (1998) The efficacy of Ginkgo bilobaon cognitive function in Alzheimer disease. Arch Neurol55:1409−1415
(5) Ni Y, Zhao B, Hou J, Xin W (1996) Preventive effect of Ginkgobiloba extract on apoptosis in rat cerebellar neuronal cellsinduced by hydroxyl radicals. Neurosci Lett 214:115−118
(6) DeFeudis F, Drieu K (2000) Ginkgo biloba extract (EGb 761) andCNS functions: basic studies and clinical applications. CurrDrug Targets 1:25−58
(7) Lien E, Ren S, Bui H, Wang R (1999) Quantitative structure-activityrelationship analysis of phenolic antioxidants. Free Radic BiolMed 26:285−294
(8) Smith J, Luo Y (2003) Elevation of oxidative free radicals inAlzheimer's disease models can be attenuated by Ginkgo bilobaextract EGb 761. J Alzheimer's Dis 5:287−300
(9) Pardon M, Joubert C, Perez-Diaz F, Christen Y, Launay J, Cohen-Salmon C (2000) In vivo regulation of cerebral monoamineoxidase activity in senescent controls and chronically stressedmice by long-term treatment with Ginkgo biloba extract (EGb761) Mech Ageing Dev 113:157−68
(10) Bastianetto S, Ramassamy C, Dore S, Christen Y, Poirier J, QuirionR (2000) The Ginkgo biloba extract (EGb 761) protectshippocampal neurons against cell death induced by betaamyloid.Eur J Neurosci 12:1882−1890
(11) Luo Y, Smith J, Paramasivam V, Burdick A, Curry K, Buford J,Khan I, Netzer W, Xu H, Butko P (2002) Inhibition of amyloidbetaaggregation and caspase-3 activation by the Ginkgo bilobaextract EGb761. Proc Natl Acad Sci USA 99:12197−12202
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(14) Smith P, Maclennan K, Darlington C (1996) The neuroprotectiveproperties of the Ginkgo biloba leaf: a review of the possiblerelationship to platelet-activating factor (PAF) J Ethnopharmacol50:131−139
(15) DeFeudis FV (2002b) Effects of Ginkgo biloba extract (EGb 761)on gene expression: possible relevance to neurologicaldisorders and age-associated cognitive impairment. Drug DevRes 57:214−235
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南ミシシッピ大学の J. V. Smith 氏、 Y. Luo 氏によるイチョウ葉エキスのレビューをご紹介しましょう。
「ギンコ ビロバ エクストラクト ( イチョウ葉エキス ) の分子学的メカニズムに関する研究」
Studies on molecular mechanisms of Ginkgo biloba extract Appl Microbiol Biotechnol (2004) 64: 465−472 J. V. Smith . Y. Luo
イチョウ葉エキスには2つの成分があり、それらがユニークな薬理作用をもっているというところからこのレビューは始まる。
1)テンペル
2)フラボノイド
1)テルペンは次に分類される。
a)ギンコライド A、B、C、J、M
b)ビロバライド
a)ギンコライドの効果
「 ギンコライドは血小板活性化因子 (PAF) のアンタゴニストで、血小板活性化および凝集を阻害する。それによって血液循環を改善する 」(1)
アンタゴニストとはある作用を阻害する物質 (拮抗物質) 。
つまりギンコライドは血栓の形成を防ぐことが期待できる。
2)フラボノイドの効果
フラボノイドは抗酸化作用を発揮する。
「 フラボノイドは芳香環および二重結合によって構成されている。それによって、ヒドロキシルラジカルにより反応しやすく、直接的スカベンジ作用を有する 」(2)
ヒドロキシルラジカルはフリーラジカル。
ヒドロキシルラジカルは他の物質と反応しやすく、糖、脂質、タンパク、DNAを傷つける。
ニューロンを形成する物質である不飽和脂肪酸に対しても、このラジカルが酸化ダメージを与える。
フラボノイドはつまりニューロンを酸化から守ることが期待できる。
さらに
「 SOD ( superoxide dismutase ) のような抗酸化タンパク質の発現、グルタチオンのような抗酸化代謝物質を増加させる 」(3);(4)
SODとは前出のヒドロキシルラジカルを無害化する酵素のこと。
ところがSODは加齢に伴い減少してしまう。
しかしフラボノイドはSODを増加させる。
「 フラボノイド上の水酸基は prooxidant transitional metal ions (例えばFe2+) と結合してキレート環を作る 」(3)
「 それにより新たなヒドロキシラジカルの生成を阻害する 」(2);(5)
鉄は錆びやすい。
それは生体内の鉄でも同じです。
上記は、フラボノイドが鉄と反応して酸化を防ぐという報告。
それではそれら成分を含むイチョウ葉エキスの主要な効果について。
1 フリーラジカル、酸化ストレスについて
「 フリーラジカルスカベンジャー活性化作用をもっている 」
「 ROS ( reactive oxygen species ) の組織内濃度を減少させる 」(6);(7);(8)
ROS ( 活性酸素種 ) とはフリーラジカル、活性酸素の総称。
イチョウ葉エキスはそれを減らすという、これは抗酸化作用についての報告。
「 膜脂質過酸化反応を抑制する 」(6)
膜脂質過酸化反応とは、脂質の酸化が連鎖するという現象のこと。
あるきっかけで水素を引き抜かれた脂質は、フリーラジカルと化す。
それがこの連鎖の始まり。
ラジカル化した脂質は他の物質から電子を奪いラジカルを増やしてゆく。
増えたラジカルは健全な脂質の水素をつぎつぎ引きぬく。
というように、膜脂質過酸化反応とは、いわば脂質ゾンビ化現象。
そしてイチョウ葉エキスはその連鎖反応を抑制する働きを有する。
ちなみに、
ビタミンEも脂質ラジカルを元に戻す物質。
ただし、ビタミンEのサプリメント摂取は多量になりやすく中性脂肪を引き上げかねないので注意が必要。
脂質の酸化を防ぐためのサプリメントを選ぶなら、フラボノイドが良いでしょう。
2 抗ストレス作用
「 副腎皮質のPBR ( peripheral-type benzodiazepine receptor ) の発現を減らす 」(6)
PBRとは、末梢型ベンゾジアゼピン受容体のことでコルチゾールの合成にかかわる受容体のこと。
副腎皮質に多く存在している。
イチョウ葉エキスはコルチゾールの生産量を減らすようである。
コルチゾールは生存に不可欠なホルモンではあるものの、生体に様々な障害を引き起こすホルモンでもある。
たとえばコルチゾールの大量発生、すなわちストレスは、海馬を委縮させかねません。海馬のニューロンが死滅しています。
海馬にはコルチゾールの受容体が多くあります。
(腹部も多くて、だからストレスはひとを太らせる。が、それはまた別な機会に)
海馬は生体のストレス反応を抑制へと「呼びかける」器官であるため、コルチゾールの矢面に立つ仕組みです。
しかし過剰なコルチゾールは(慢性的なストレスは)海馬のニューロンを「興奮毒性死」へと追い込みかねません。
「興奮毒性死」という現象はニューロンが死滅する仕組みのひとつです。
過剰に刺激されたニューロン内にカルシウムイオンが大量に流入し、ニューロンが興奮状態となり、過活動を起こし、疲れ果て、死滅する、という現象。
海馬の機能についはご承知と思いますが、念のため。
海馬は記憶を定着させたり記憶を呼び起したりする記憶の統合器官であり
また海馬は生体のストレス反応を抑制へと転じるスイッチでもある。
加えて海馬は大人であってもニューロンが新生し、育つ場所。
「 脳のモノアミン酸化酵素 ( MAO ) 活性を低下させる 」(9)
MAO ( モノアミンオキシダーゼ ) 阻害薬は脳のドーパミン濃度を上げる。
MAO阻害薬は、アメリカでは抗うつ剤としても使われることがあります。
これすなわち、イチョウ葉エキスの抗うつ作用を示す報告です。
3 ニューロンのアポトーシスへの作用
「 ニューロンのアポトーシスの減少 」(10);(11);(12)
アポトーシスとはプログラムされた細胞の死滅、細胞の自殺と言われる現象で、ニューロン死滅原因のひとつ。
4 認知機能、記憶への効果
イチョウ葉エキスはアミロイドベータの付着を改善するとも報告されています。
「 神経芽細胞腫細胞におけるアミロイドベータの凝集抑制 」(11)
「 意思決定能力や高齢動物における新しいスキルの習得、ストレスへの応答や気分の変化といった因子に対して有益 」(9):(13)
DNAが損傷を受け、異常なカタチのタンパク質を作ることがあります。
たとえば脳内においては、タンパク質の製造の過程で、本来、内側に折りたたまれるべき油性部分が外にむき出しとなることがあります。
それら異常なタンパク質同志は癒着し、塊と化してゆく。
この塊はアミロイドベータと呼ばれます。
アミロイドベータはアルツハイマー病の原因のひとつとも見られています。
アミロイドベータが付着したニューロンはやがて衰弱し、死滅することが分かっています。
イチョウ葉エキスはその衰弱段階にあるニューロンを回復させるとの報告もあります。
上記はイチョウ葉エキスがアミロイドベータの形成を抑制するという報告です。
ちなみにこのレビューに、イチョウ葉エキスの記憶力改善作用を報告する論文の引用はありませんが、その可能性を示す論文を見つけることはできます。
分子レベルでは、たとえば NDMA受容体(長期記憶に関係する受容体)のノックアウトマウスにイチョウ葉エキスを与え、記憶力が戻った等、報告されています。
5 血液、血流、血管への作用
「 血小板活性化因子 PAF 抑制効果による脳虚血の改善 」(10)
「 内皮由来血管弛緩因子 EDRF (Stimulation of endothelium-derivedrelaxing factor) の刺激による動脈、静脈および毛細管の循環改善 」(14)
血管のもっとも内側に存在する内皮は様々な物質を分泌します。
EDRF (NO 一酸化窒素) もそのうちのひとつ。
一酸化窒素は血管を弛緩させる。
イチョウ葉エキスが血流を良くするというのはこのためと考えられる。
5 神経伝達物質への作用
「 脳内のα1-アドレナリン受容体、5-HT1A ( セロトニン ) 受容体およびムスカリン受容体の年齢による減少予防 」(6)
「 海馬の高親和性コリントランスポーターの取り込みの増加 」(6)
シナプス前細胞から放出されたアセチルコリンは、シナプス後細胞の受容体を活性化したあとで、急速に分解されます。 コリンエステラーゼによってコリンと酢酸に。
シナプスは信号伝達をするためにアセチルコリンを再度、保有しなければなりません。
しかしニューロンはアセチルコリンの原料であるコリンを作れませんので、分解されて周囲を漂うコリンを、再度、シナプス内に取りこむ必要があります。
海馬の高親和性コリントランスポーターとは、それらコリンの取り込み口のことです。
つまりイチョウ葉エキスはアセチルコリンを増やすようです。(コリンのリサイクル効率を向上させる)(ちなみに高麗人参エキスにもこの働きがあります)
アセチルコリンは、記憶の形成、学習、行動、睡眠に関係する神経伝達物質であることはご承知かと思います。
7 抗ストレス作用、遺伝子発現への作用など
「 海馬のグルココルチコイド受容体のダウンレギュレーションの阻害 」(6)
イチョウ葉エキスは、ストレスへの抵抗力を高めるという報告。
海馬のグルココルチコイド受容体の減少をくいとめるというこの作用は、ある種の抗うつ薬同様の働き。
グルココルチコイド受容体とはコルチゾールの受容体です。
その受容体の活性化とは、生体のストレス反応を抑制へと切り替えるために重要。
海馬にはコルチゾールの受容体が多くあり、それゆえ過剰なコルチゾールは海馬を破壊するというのが先ほどのお話し。
「 ある特定の遺伝子の転写を調節する。その結果、細胞の抗酸化状態を増加させ、酸化ストレス耐性を強化、伝達アセチルコリンの量も増える」(15)
「 DNA合成や修正、細胞周期における機能に関わるタンパク質の変化に影響をあたえ、DNA損傷を抑制する」(15)
イチョウ葉エキスは遺伝子発現に作用し、抗酸化力の強いニューロンに強化する働きを有する。
8 その他
「 ミトコンドリアの呼吸調節比率の増加によるATPレベルを増加 」(1)
これはイチョウ葉エキスは生体内のエネルギーを増やすという報告。
ほかにも、イチョウ葉エキスは高山病に有効であるという報告もある。
これが意味するのは酸素の取り込み効率を上げるということです。
日常生活のなかでも酸素の取り込みの減る事態はたびたび生じます。
集中するとき、わたしたちは呼吸をつい忘れがち。
集中しなければならないときには、イチョウ葉エキスを摂りましょう。
「 抗炎症作用および脳障害に対する保護作用 」(16)
「 神経の可逆性への影響 」(6);(3)
イチョウ葉エキスは弱ったニューロンを回復させるようである。
しかしここでの問題は、フツウのひと、ではなく、頭脳戦士はイチョウ葉エキスのポテンシャルをどう引き出すか、ということでしょう。
お勧めするのは、高麗人参エキスやホスファチジルセリンと組み合わせることです。
高麗人参エキスはイチョウ葉エキス同様、「興奮毒性死」を抑える働き、アセチルコリンを増やす働きも期待できます。
イチョウ葉エキスと組み合わせた実験では、ADHDを改善する報告もされています。
集中力を高めることが期待できるのです。
さらに、イチョウ葉エキスとホスファチジルセリンの組み合わせには、集中力、記憶力を改善させることも報告もされています。
それらサプリメントを個別に購入し、自分に合うイチョウ葉エキス・スタックを見つけてみてはいかがでしょうか。
あるいは
キロンのスウィッチ SWITCH や、クールスウィッチ COOL SWITCHには、それら報告とほぼ同量のイチョウ葉エキス、高麗人参エキス (COOL SWITCHはアメリカ人参)、ホスファチジルセリン、バコパモニエラエキスが配合されています。
イチョウ葉エキスを単独で摂る場合と、キロンのスウィッチ SWITCH 、COOL SWITCH とを飲み比べてみるても面白いかもしれません。
スウィッチは、アマゾンや楽天でも入手できます。
▼アマゾン COOL SWITCH
https://www.amazon.co.jp/dp/B07P9XSK2G/
▼アマゾン SWITCH
https://www.amazon.co.jp/dp/B0095GON76
▼アマゾン HYPER SWITCH
https://www.amazon.co.jp/dp/B012QKWVMQ
References
(1) Defeudis FV (2002a) Bilobalide and Neuroprotection. Pharmacol
Res 46:565−568
(2) Zimmermann M, Colciaghi F, Cattabeni F, Di Luca M (2002)Ginkgo biloba extract: from molecular mechanisms to the
treatment of Alzheimer's disease. Cell Mol Biol 48:613−623
(3) Gohil K, Packer L (2002) Global gene expression analysis identifiescell and tissue specific actions of Ginkgo biloba extract, EGb761. Cell Mol Biol 48:625−631
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(7) Lien E, Ren S, Bui H, Wang R (1999) Quantitative structure-activityrelationship analysis of phenolic antioxidants. Free Radic BiolMed 26:285−294
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